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読書感想文。堀辰雄『大和路・信濃路』

 引越ししてゆく友人からもらった本の中で、この本が一番もらって良かったなと思う(まあまだ全部読んでいないが)。堀辰雄の『大和路・信濃路』。

 堀辰雄と言えば小説『風立ちぬ』が今度スタジオジブリでアニメ映画化するなど、有名だ。『風立ちぬ』は前に読んだが、あれは傑作だった。

 さて一方で今回の『大和路・信濃路』は小説ではない。日記や読書感想文の体で短い文章がいくつか掲載されている。私はこれを読んで国語の教科書の様な印象を受けた。教科書と言ってもあんな文学作品の寄せ集めではない。堀辰雄は詩的で情緒的な文章を書いたのだ。伊勢物語更級日記のような日本の古典文学から受けた感銘、リルケの『ドゥイノ悲歌』への思いといった文学作品を独自に解釈して、中々ロマンチックに書き綴っている。まあちょっと文章がくどくて読みにくいところがあったがの。

 堀辰雄の『大和路・信濃路』は物語のようなドキドキワクワクはないが、自然に対する感動や、作者の文学への想いの詰まった良き一冊である。もし巡り合うことがあれば手に取ってみてはどうだろうか。